市場の動向と展望

市場の動向と展望


介護の市場は今後さらに拡大する

介護福祉関連の製品やサービス市場についてまとめられた「Welfare関連市場の現状と将来展望2019」によると、2025年には介護業界におけるICTが2018年比で2.2倍(22億円)になるとの市場予測が立てられています。この調査では、合計65品目の介護福祉関連製品・サービスの市場動向を明らかにしています。主な項目の伸び率は、介護保険対象製品が2018年比126.2%、次に、介護・福祉関連生活必需品が同125.0%の、介護・福祉関連生活向上機器・装置が同97.6%、介護製品流通業界が同139.4%、介護・福祉関連サービスが同126.0%でした。特に伸び率が高かったのが、介護負担軽減型機器・システムの同145.8%でした。このことからも、今後の介護市場においてICTの果たす役割がいかに大きなものとなるかが推察できます。介護・福祉関連生活向上機器・装置は現状と比較してやや縮小するとの予測ですが、今後高齢者人口が増加するにつれて市場が拡大する見込みはまだ残されており、動向を注視していく必要があります。

注目の市場をピックアップ

業界注目の市場として筆頭に挙げられるのが、タブレットやスマートフォンなどの端末で介護記録の入力作業を効率化する「介護業務効率化支援システム」です。介護業界の人手不足問題を打破するため、ICTの導入を進めようとしている事業者が多くなっています。介護現場の労働環境がICTによって改善されれば、介護業界に関心を持っている人材が集まることも期待できます。また、労働環境改善のため特定処遇改善加算が新設されたことや、IT導入補助金の存在も追い風になっています。
その他の注目市場としては、介護消臭剤や高齢者向け介護保険外サービスなどがあります。在宅介護が推進されている中、在宅で介護サービスを受ける要介護度が高い高齢者はさらに増える見込みです。快適な環境で介護生活を送るためのアイテムとして、消臭剤の需要は今後ますます増えると考えられています。そして、高齢者の増加とともに考えなければならないのが認知症患者の増加です。介護保険でできることには限りがあるため、介護保険外の高齢者向けサービスの充実によって認知症ケアに多くの選択肢を持てるようになると考えられています。
加齢による心身機能の低下で、要介護の少し手前の状態になることを指す「フレイル」に関連する市場の拡大も予測されています。特に注目されているのが、オーラルフレイル対策関連製品とフレイル予防・フレイル評価システムの市場です。フレイル予防・フレイル評価システムはまだ実証段階で、地域包括ケアシステムが構築される2025年の実用化を目指しています。

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