人材の定着率アップが見込める

人材の定着率アップが見込める


ICT活用によって介護業界が変わる

日本の介護現場は人手不足で、離職率も他の産業よりやや高めです。介護職の離職率が高いのは、慢性的な人手不足による労働環境の悪化や非正規雇用の問題などがあります。人手不足によって仕事の負担は増えますが、給与水準が労働に見合っていないと思える場合もあります。介護業界に志を持って入ってくる人は、社会貢献に対する意識が高い人が多いものです。しかし人手不足からの悪循環によって、長く働きたくても働けない状況に追い込まれてしまいます。この状況を脱するためには、介護業界で働く意欲を持ち続けられる環境を作る必要があります。ICTの活用がさらに進めば、介護人材の定着率アップにつながると大きな期待が寄せられています。

介護人材が不足している理由

介護人材が不足していることが明らかになりはじめたのは、2014年に開かれた第1回社会保障審議会福祉部会で「介護人材の確保について」という資料が発表されたころからです。「平成25年度介護労働実態調査結果」によれば、介護サービスに従事する従業員について、全体の40%以上が不足感を訴えていることが明らかになっています。人材不足の理由として最も多かった回答は、「採用が困難」というものでした。採用が難しく離職率が高いことが、人材の定着率アップの妨げとなっているのです。
(財)社会福祉振興・試験センターによる「平成24年度社会福祉士・介護福祉士就労状況調査」では、離職の理由を「個人の意識・意欲」「便利さ」「待遇・労働環境」「事業所・経営者のマネジメント」の4つに分類して調査を行いました。その結果、「事業所・経営者のマネジメント」「待遇・労働環境」の項目が離職理由に多いことがわかりました。具体的には、結婚や出産、育児による離職が最も多く、次に法人や事業所の理念・運営方法への不満、職場の人間関係、収入面での不満などが続いています。最も多かった結婚や出産、育児による離職は、事業所の工夫によって働きやすい環境を整備することができた問題です。すべての従業員が一律に働くのではなく、その人の状況に応じて柔軟に働くことができるようになれば、人材の流出はもっと緩やかになるかもしれません。事業所の理念や運営方針、職場の人間関係は、人手不足の悪循環によってさらに状況を悪化させる可能性がある事柄です。

介護職に対するイメージ

介護業界の中で起きている悪循環は、介護業界を外から見る人たちへも悪影響を与えています。介護職そのものに対するイメージは肯定的ですが、介護職の現場に対してはマイナスイメージのほうが目立っています。内閣府が行った「介護保険制度に関する世論調査」によれば、65%もの人が「夜勤などがあり、きつい仕事」というイメージを抱いています。

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