導入による業務上のメリット
介護業界で活用されているICT
人材不足が慢性化している介護業界にとって、ICTは難しく思えた課題解決の糸口です。ICTの力を必要としている介護現場は数多くあり、導入している現場ではさまざまなメリットを実感しています。では、介護業界にICTを導入することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的な例をいくつかご紹介します。
見守りと情報共有
高齢者向けの介護施設では、不慮の事故や体調の急変を見逃さないよう注意深く見守りを続ける必要があります。しかし、ひとりの入居者にひとりの介護職がつきっきりで見守ることは不可能です。そこで活躍するのがICTの技術です。ICTを活用すれば、ベッドや壁、トイレなどに取り付けたセンサーによって入居者の動きを記録し、データ解析によって状況を判別することが可能になります。入居者が睡眠中であれば活動している他の入居者の様子を見ることができますし、部屋の外に出ているならすぐに駆けつけることもできます。また、心肺機能の変化をアラートで知らせる機能もあり、体調の急変を素早く察知して適切な対処へとつなげます。
介護事業専用の情報共有システムを使えば、施設利用者の情報を電子化して一元管理できます。手書きで書類作成する手間が省けるので、業務負担は大幅に減ってペーパーレス化も進みます。カメラ機能を使って、文章化しにくい状況を誰の目にもわかりやすく記録しておくこともできます。タブレットひとつで多くの業務ができるようになれば、介護現場の仕事はよりシンプルなものになるでしょう。
情報伝達を早く確実にする
介護職が働く現場はさまざまで、施設内のみで働く人もいれば訪問介護がメインの人もいます。スタッフ同士がバラバラの場所で働いているとタイミングが合わず、情報共有がうまくできないことがあります。伝達ミスが重大な問題に発展しかねない介護現場において、早く確実な情報伝達は重要な課題です。そんな問題も、ICTを活用すればすべて解決できます。スタッフが専用のタブレットやスマートフォンなどを携帯し、専用のシステムを使って情報発信を行うようにすれば、同じシステムを使っているスタッフ全員が同じタイミングで同じ情報を共有できます。文章として残るので、聞き逃しや勘違いなども防止できます。このシステムを活用することにより、申し送りのためだけに多くの時間を使う必要がなくなります。
介護ロボットで現場の負担を軽減
介護ロボットもICTの一部です。パワーアシストスーツの登場により、排泄や入浴などの介助にかかる足腰への負担軽減が期待されています。ロボットが施設利用者の見守りを行ったり癒しの存在となったりするなど、役割の幅はさらに広がりを見せています。